都内探鳥記

増田 徹(Young探鳥会担当)

4月を迎え、野鳥の世界としては本来いい季節になってきましたが、新型コロナウイルスによる影響でなかなかその様子を見ることができない、もどかしい状況となっています。予定していた探鳥会も軒並み中止となり、参加を予定されていた皆様は残念に思われていることでしょう。我々スタッフ一同も同じ気持ちです。しかし、ここはもう少し我慢をして、世の中が落ち着いてからまたお会いすることとしましょう。不要不急の外出は慎み、自身や周りの方の安全のため、感染拡大を防ぐために最善を尽くしましょう。

 

一方で、健康のための近所の散歩やジョギングは行っても良いとされています。一日中家に籠りっぱなしというのも気分が滅入ってしまいますよね。散歩や買い物で外出した際、少し工夫をして心に豊かさを取り戻してみませんか。この記事は不要不急の外出を推奨しているものではありません。あくまで、感染拡大のリスクを避けた状態において少しリフレッシュし、不足している鳥成分を補いましょうという趣旨のものです。

 

季節は遡りますが、まだコロナウイルスが世を騒がせていなかった冬季の某日、都内で野鳥の観察地としてそれほど有名ではないと思われる、しかし野鳥がいそうなポイントをグーグルマップで探して巡ってみました。

 

具体的な場所としては、東京ミッドタウン、青山霊園、芝公園と増上寺、浜離宮庭園、お台場(第三台場)、(墨田川を航行するフェリーに乗って)墨田川、東京大学の三四郎池、根津神社、赤坂迎賓館、ホテルニューオータニの庭園、清水谷公園…などなど。(もちろん1日で周った訳ではありません!)特別珍しい鳥がいた訳ではありませんが、青山霊園ではいかにもいそうな雰囲気の中現れたジョウビタキに興奮したり、海なので当たり前なのかもしれませんが、お台場にもウミアイサいるんだ~と感動したり、芝公園の緑地ではエナガやヤマガラなどの鳥が予想以上に濃くて驚いたり、色んな発見に出会うことができました。上記ポイントを合わせると、35種ほどの鳥をみることができており、日や時期を変えると他の鳥も見られるだろうことを考えると、開発が進んでいるとはいえ、東京都心部も実はポテンシャルを持っていると思っています。また、こんなところにこんな鳥が!という発見は、東京ならではの感慨かもしれません。

 

 

青山霊園のジョウビタキ  

芝公園や清水谷公園にはエナガが多い


浜離宮庭園のツバキにメジロ

東京大学にいた賢そうなシロハラ


 

 

ここで私が言いたいことは、上記のスポットへ皆さんも行ってみてください、ということではありません。皆さんのお住まいの地域にも、公園、田んぼや畑、河川敷、池、お寺や神社、ちょっとした緑地や林、干潟や海、ツバメがやって来る軒等、探せば何らかの野鳥が好みそうな環境があるのではないでしょうか。そんな「自分だけの」場所を見つけ、目を向けることで新たな発見や驚き、感動に出会えるかもしれません。わざわざ今のご時世、電車や車に乗って探鳥会を行っているような(葛西臨海公園や明治神宮などの)人の集まる野鳥有名スポットに行く必要はありませんし、それによって野鳥との関わりが切れる訳ではありません。貧しい環境の中でも野鳥たちは上手く適応し健気に生きています。我々もそんな鳥たちを見習って、この困難な状況に適応したバードウォッチングをしてみましょう。こんな時だからこそ、近所の自然にふれあい、日々に少し色を添えてみてはいかがでしょうか。

 

 

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